Spark (スパーク/星火)

日本と中国の理解を促進することを目的としたブログです。

中国人が見た日本:眼科医HR氏とのいくつかの思い出(上)~老紳士のお辞儀を伴う謝罪~

※Noteからの転載です

https://note.com/sparkxinghuo/n/ne2dd9ad37075

 

北九州から福岡市へ向かうJRの古賀駅を通過したとき、私の心は20年前の留学時代に戻った。ここで、忘れられない出来事があり、それは昨日のことのように彷彿と思い出される。

留学中は、国際交流の活動に好んで参加した。 HRさんと出会ったのは、福岡で開催された国際ボランティア会議だった。 私立の眼科病院の院長で、メガネをかけ、優しいHRさんは、奥様と一緒に学会に参加し、その場で私たち留学生に対して、後日、自身の病院に招き、スタッフと交流会を持ちましょうと約束してくれた。

眼科医院は古賀市にある。夏の暑い午後、仲間とJRに乗り、約束の古賀駅で降りると、すでにHR氏が駅の出口で待っていた。 駅前のパーキングエリアまで一緒に歩いていると、赤いビートルの横に、ライトグレーのスーツにボーラーハットをかぶった70歳代の痩せた老紳士が立っているのが見えた。 その老紳士はHRさんの父親で、お互いに自己紹介をした後、老人は私と留学生の仲間に深々と頭を下げたのだ。これには大変驚いた。

老紳士は「私たち日本人は中国人に悪いことをした。日本人を代表して謝罪する」と、涙を浮かべながら感慨深げに語った。「私は、日本が中国を侵略した時、軍隊で会計士をしていたが、日本兵が残忍で人としてあるまじき行為を、あまりにも多く実行しているのを見た。彼らに代わって、謝罪したい」と。私たち留学生は、しばらくの間、言葉を失って聞いていた。 すでに2~3年の留学経験を持っていた私たちにとって、このような事態に遭遇するのは初めてのことだったのだ。それ以来、同じようなことには遭遇していない。老紳士はさらにこうも言った。「私と子供たちは、残りの人生をかけて、中国人の被害に対して償うつもりだ」と。

HRさんの運転するビートルに座ると、老人は私の手を取り、それ以上何も言わなかった。 彼の手は、とても温かかった。 (続く)

【出典】https://www.toutiao.com/article/7113163591741735465/?log_from=622614a9aeacb_1664943724966
【翻訳】松本忠之